2024年度共通テスト 科目ごとの特徴・学習アドバイス

入試を熟知した北予備のプロ講師が2024年度共通テストの科目ごとの特徴を解説します。

世界史A

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

図やグラフ,会話文や史料などを関連させて解答する設問がほとんどで,知識だけで解ける設問はほとんどない。大問は5題,問題数は30問であり,前年(2023年度本試験)と比べると大問数は1題増えたものの,問題数には変化がなかった。難易度も平易であった。

◇今回のテストで求められた力,来年度受験生へのアドバイス

共通テストで求められている力は,次の2点である。

  1. 基本的事項の理解
  2. 資料の読解力

まず➀について,教科書や資料集を熟読し,それぞれの時代がどんな時代であったかを把握する。「この王朝は一言で言うとこんな王朝」「あの戦争は○○が意義深い」など,簡潔に説明できるようになることが重要である。細かい用語や情報を増やすよりも,前述のとおり,それぞれの事象を結びつける学習を心がけてほしい。 次に➁について,図やグラフ,会話文,史料が示している出来事が何を示しているのかをリード文も参照しながら,自分の持っている知識とリンクさせていくことが必須である。普段から資料集を用いて,どんな出来事が資料にどのように表されているかを考える練習が有益であろう。

世界史B

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

大問数は4,問題数は33。昨年度(2023年度)の共通テストと比較すると,大問数・問題数ともに1題・1問減少している。

本年度も,資料や統計,図像やそれらに関する会話文を用いた考察問題が多く出題されている。正誤問題は文章中の空欄に連結した形で出題されることが多く,生徒のメモに対する正誤の組合せを問う形式の正誤問題も増えている。直接地名や国名等を尋ねるタイプの地図問題はなかった。年代整序問題は昨年度に続き,1問出題された。難易度に関しては,やや難であった昨年度と比べると,今年度はやや易であると言えよう。内容的には,教科書を超えない基本レベルであった。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

 資料や統計,図像などを用いて,受験生に考察させる問題が数多く見られる。また,空欄補充問題は,単にその語句を埋めるものではなく,その空欄に関する説明文などの正誤を問うものが中心である。どちらにせよ,歴史上の固有名詞や年代の記憶に依存する勉強方法では対処できないということである。問題の会話文に見られるような授業中のやり取り,もしくは図書館等での自主学習を普段から実際に行い,問題中で求められているような知的作業に慣れておくことが肝要である。

 昨年度(2023年度)のリード文に次のような内容が載せられている。「単に歴史知識を獲得するだけではなく,それに対する疑問や議論を通じて歴史への理解を深めることが重要である。」まさに,作問者が受験生に伝えたいことはこれである。

そのためには,一つひとつの歴史事項について,その背景,内容,影響などを体系的に整理しておく必要がある。教科書を熟読したうえで,それぞれの時代や地域における歴史の流れをノートにまとめたり,付箋を用いて疑問点を書き取り,後日,科目担当者に尋ねたりすればよい。その学習効果がそのまま高得点につながるはずだ。

日本史A

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

大問数5題、小問32題(マーク数)、配点に関して例年通りで変化はなかった。史料や資料、またグラフや表を用いた出題が多く、日本史Bとの共通問題も例年通りであった。出題分野も政治・経済・外交・文化から出題されており、大きな偏りも見られなかった点も日本史Bと同様であった。資料分析や史料読解が昨年と比較して易しくなっているため、全体的にやや易化したように思われる。 解答番号3、5、19、24がやや難問であった印象であるが、それ以外の正誤判定の設問や空所補充の設問は基本的知識が備わっていれば、正解を導き出せるレベルの問題であった。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

史料や資料を判読する設問と表やグラフを分析する設問では、歴史的な知識と読解力で正解を導く形式が主体となったため、単なる歴史用語や年代の暗記だけでは対応できない試験となっている。全体的には過去のセンター試験や共通テストで出題されたテーマ・歴史事項が、繰り返し出題されている傾向が強く見られる点は注意しておきたい。

日本史B

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

大問数6題、小問数32題(マーク数)、配点に関して例年通りで変化はなかった。史料や資料、また写真やグラフを用いた出題が多く、日本史Aとの共通問題も例年通りであった。出題分野も政治・経済・外交・文化から出題されており、大きな偏りも見られなかったが、次年度から実施される「日本史探究」を意識してか、世界史的視点と外交史に関する設問が目立った感じである。全体的に史料の読解問題が解きやすく、昨年よりはやや易化したように思われる。解答番号3、13、16、18、26、31がやや難問(特に13、16はかなり難問)であった印象であるが、それ以外の正誤判定の設問や空所補充の設問は基本的知識が備わっていれば、正解を導き出せるレベルの問題であった。一方で、解答番号11のように選択肢8つの中から正解を見つけ出す形式があった。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

史料や資料を用いた設問で、歴史的な知識と読解力で正解を導く形式が主体となったため、単なる歴史用語や年代の暗記だけでは対応できない試験となっている。全体的には過去のセンター試験や共通テストで出題されたテーマや歴史事項が繰り返し出題されている傾向が強く見られるので、次年度から実施される「日本史探究」においても、まずは過去に日本史A・Bで出題された問題をしっかり習得することが重要である。

地理A

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

問題全体の難度は,標準的であった。出題の意図が明確で,丁寧な出題が多い印象である。大問数は5題で,問題数は30問であり,大問数は昨年(2023年度本試験)から変化がなかったものの,問題数は1問減少していた。ちなみに,第5問の地域調査は地理Bと共通問題である。

例年どおり,統計データ(表やグラフ)を用いた出題が多くみられ,また,組合せ式の出題形式が多かった。出題分野は,自然環境や産業,世界地誌,地域調査を中心に,広い分野から出題されていた。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

昨年は,「新傾向」のやや解きにくい出題が散見されたが,今年は昨年よりも明確な問題が多かった。とはいえ,「読解力」「思考力」を求める問題が多いため,決して「暗記しただけで解ける」という性格のものではない。来年(2025年度試験)から試験科目として導入される「地理総合」においては,このような傾向がさらに進むと考えられるため,普段から多くの問題を自分で解いてみて,考える手順をしっかりと身に着けておこう。

地理B

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

問題全体の難易度は,標準~やや易であった。大問数は5題,問題数は30問で,大問数は昨年(2023年度本試験)から変化がなかったものの,問題数は1問減少していた(第1問の問題数が7 → 6へ)。ちなみに,第5問の地域調査は地理Aと共通問題である。

例年どおり,統計データ(表やグラフ)を用いた出題が多くみられ,また,組合せ式の出題形式が多かった。出題分野は,自然環境や産業,世界地誌,地域調査を中心に広い分野から出題されていた。

第1問の問6は,図から必要な情報を読み取るのが難しいと感じた受験生がいたと考えられる。

第2問の問2は,図から情報を読み取るというよりも知識で解答する問題であったため,難しく感じた受験生がいたと考えられる。

第4問の世界地誌は,環太平洋地域という広い範囲での出題だったので,地誌というよりは,地域間での生活環境,貿易のつながりという内容が中心であった。従来の「地誌」とはやや出題意図が異なるように感じた。なお,問5の貿易関係の問題は,図を読み取る力が求められ,やや難度が高い。

第5問の問3は,図からの読み取りがやや難解であり,冷静に図を読み取る力が求められていた。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

昨年は,「新傾向」のやや解きにくい出題が散見されたが,今年は上述のとおり,やや難解な問題がみられたものの,昨年よりは明確な問題が多かった。とはいえ,従来の知識が問われる問題だけではなく,「読解力」「思考力」を求める問題が多く,決して「暗記しただけで解ける」という性格のものではない。来年(2025年度試験)から試験科目として導入される「地理総合・地理探究」において,このような傾向はさらに進むと考えられるため,普段から多くの問題を自分で解いてみて,考える手順をしっかりと身に着けておこう。

現代社会

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)
  • 大問数は変更なし。解答数は昨年より1個増加。
  • 文章選択問題が減少し,組合せ問題が増加。
  • 選択肢8択問題が増加。
  • 知識については教科書レベルの平易なものが中心であった。 ・資料の読解が多く,時間が不足した受験生もいたと思われる。
◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

教科書の基礎的な知識を正確に身に付けることが第一である。そのうえで普段の模擬試験等で資料を読み解くことに慣れ,すばやく正解へのポイントを見つけ出すことが要求される。

倫理

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)
  • 大問数,解答数に変更なし。
  • 出題形式については,文章選択問題が増加し,組合せの問題が減少した。
  • 正誤判断,空所補充を含めた読解問題数は昨年とほぼ同様。
  • 特定の単元に偏ることなくバランスのとれた出題。 ・第1問「イスラームがシーア派とスンナ派に分裂した時期」,第2問「無鬼論」「横井小楠」「石橋湛山」「与謝野晶子の母性保護論争」,第3問「ミルの少数意見の尊重」,第4問「クーリー」「ハヴィガースト」「ピアジェ」等が難しく感じた生徒もいると思われる。
◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

教科書レベルの知識を踏まえたうえで,資料などを読み解く力が要求されている。また選択肢の一つ一つの正誤を問う形式も多く出題されているため,基本的な知識,例えば思想家とそのキーワード及びその内容を正確に把握することが必要となる。

政治・経済

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)
  • 大問数,解答数に変更なし。
  • 組合せ問題が増加。
  • 比較的細かい知識が求められている箇所があるので,平均点は上昇しないものと思われる。
  • 資料判別に時間がかかりそうな問題があり,時間が不足した生徒もいたものと推察する。
◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス
  • 知識レベルにおいても細かい部分まで習熟しておく必要がある。
  • 公共の導入によって上記の傾向はさらに高まる可能性があるので,資料集も活用してより丁寧に知識を確認していく必要がある。

倫理、政治・経済

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)
  • 大問数,出題形式に変更なし。
  • 「倫理」,「政治・経済」からそれぞれ比較的平易な問題から出題している。
  • 資料読解で時間を取られすぎないことが必要である。
◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス
  • 「倫理」,「政治・経済」ともに教科書の内容をさらに深めて把握することが求められる。
  • 教科書の内容や資料集などを用いて考察の練習を普段から行うこと。

国語(評論)

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

渡辺裕『サウンドとメディアの文化資源学――境界線上の音楽』からの出題。(渡辺裕氏の著作は2004年の本試にも出題されている)

 2022年、2023年と二年連続で【文章Ⅰ】・【文章Ⅱ】という二つの文章が並立する形式が出題されたが、今年度は、まず課題文が示されて、最後の設問で生徒が課題文に関して自分で書いた【文章】を推敲するという形式であった。なお、これと似た形式は、2023年の追試でも出題されている。課題文は、モーツァルトの作品の演奏という具体的な話題から始まるが、中盤から後半にかけて芸術一般の抽象的な議論へと展開するため、受験生にはやや理解しにくい箇所もあったと思われる。

 設問に関しては、問1において、2022年、2023年と二年連続で出題されていた漢字の意味を問う問題がなくなって、5問すべて漢字問題になった。問2~問4は、理由や内容を説明する問題であり、センター試験でも頻出した問題であるが、問4は傍線部の前後の内容が抽象的であるため、難易度が高い。また、問5もセンター試験でも出題されていた文章の構成に関する問題だが、適当でないものを選ぶ根拠が見えにくく、やや迷ったのではないか。最後の問6は、自分で書いた【文章】を推敲するという見慣れない形式であっただろうが、(ⅰ)(ⅱ)は判断しやすい。ただし、(ⅲ)は迷いやすい選択肢が存在するため、やや難易度は高い。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

今回のテストで共通テスト4年目となり、ある程度出題の傾向が見えてきた。複数の文章を読解させ、最後に学習の場面を想定した設問を出題するという方向性が明確に示されている。ただし、問1~問5の設問に関しては従来のセンター試験と大きな違いは見られない。したがって、来年度のためには、センター試験の過去問などで演習を積み重ねて、多くの評論文に触れながら、最終的に複数の資料など共通テストの形式に慣れるという段階を踏んだ訓練を行うことが求められる。

国語(小説)

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

牧田真有子『桟橋』からの出題。

まず課題文が示され、最後の設問で課題文と関連した【資料】が提示されるという形式であった。このように、最後に【資料】が示されるという形式は過去三年の共通テストと同じである。課題文は、2017年に発表された高校生を主人公とする小説であり、表現も現代的で読みやすい。また、最後の【資料】も短い文章で、理解しやすいものである。

設問に関しては、問1において2021年以来久しぶりに語句の意味を問う問題が出題された。問2~問6は、理由や心情などを説明する問題であり、センター試験でも頻出した問題である。ただし、問5は迷いやすい選択肢が存在するため、やや難易度が高い。最後の問7は、課題文と関連した資料は示されているが、課題文の内容を踏まえれば正解できる設問である。(ⅰ)は簡単だが、(ⅱ)は選択肢の区別がつきにくく、やや難易度は高い。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

今回で共通テスト4年目となるが、小説に関しては、課題文が示されて、最後に関連した【資料】が追加されるという形式が連続している。また、設問においては、理由や心情を説明する問題など、センター試験を踏襲した出題となっている。したがって、来年度のためには、まずセンター試験の過去問などを素材として、様々な設問に対応できる力を養成し、最終的には複数の資料などの共通テストの形式に慣れるという方法が最良の対策となる。

国語(古文)

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

複数の文章からの出題かつ問4が空欄補充という形式は昨年度と同じであったが、問4で解説文として提示された文章が現代文のみであるところが共通テストが開始されて以来初めてのものであった。問題文は近世の馴染みの薄い出典からの出題であるものの、伝統的な古典文法に則っており、主語把握、敬語の敬意、和歌の修辞など、「古文」をコツコツ勉強してこなければ読解は難しかったと思われる。特に主人公が主語である箇所がややわかりにくいので、問4の文章を読むことが解釈の助けになったであろう。

問1 基本的な古文単語からの出題。ただし意訳している正解の選択肢があったので前後の内容と照らし合わせる必要がある。

問2 昨年度と同様、文法と本文の内容とを絡めた問題であるが、文法のみでなく文脈の理解もなければ解けないものであった。文法では「し」の識別、「む」の仮定・婉曲用法、完了の助動詞「り」、「さす」の意味用法、敬意の方向などが問われた。

問3 和歌の解釈と修辞の問題で、その和歌に至るプロセスも読み取れていないと正解するのはやや難しい。

問4 「桂」の解説文と問題文とを照合しながら読む必要があり、総合的な読解力・思考力を問う良問であった。一見複雑な形式に見えるが、枝問(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)とも問われている問題文での該当箇所が丁寧に解釈できていれば解ける問題である。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

問4は昨年度、一昨年度と続いた教師と生徒との対話ではなく、「桂」についての「解説文」の空欄を埋めるという形式だったため出題形式が変化したと戸惑った受験生もいたかもしれないが、現代文の空欄を埋めるという点では同じである。また古文の文章は一つであったので、この「解説文」が問題文の読解に生かせると判断してすばやく対応していく必要があった。つまり与えられた文章をいかに味方に付けるかという判断力も要求されている。単語や文法の基本的な力を確実にした上で、さまざまな形式の予想問題を解いて、どのような問題にも柔軟に対応できる力を養っておいてほしい。

国語(漢文)

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

漢詩とその詩話・詩論とによる出題であった。杜牧は晩唐の詩人。【資料】で示された『詩林広記』・『考古編』は宋代の詩話・詩論である。【資料】で示された漢文の分量も少なく、内容も受験生にとって読みにくいものではなかったと思われる。昨年と比較すると易化したといえるだろう。 問1は漢詩の形式と押韻の知識を問う出題。一句目の「堆(タイ)」字も韻を踏んでいることに気がつくかがポイント。問2は語句の意味を問う出題。(ア)の「百姓」で名詞の意味を出題し、(イ)では「人口に膾炙する」の四字熟語の知識を問うている。問3の返り点・書き下し文の問題は「窮人力」と「絶人命」とが対句であることと、「有」「所」「不」が所謂、返読文字であることに留意するとよい。問4は漢詩の三句目の口語訳を問う。送り仮名まで施しての口語訳の出題は昨年と同じ。【資料】によって内容を把握することが求められた。問5は③がやや紛らわしい。【資料Ⅳ】を丁寧に読むことが求められる。問6の詩の鑑賞問題も、【資料】の読み取りを踏まえて答える必要がある。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

設問として示された複数の文章に目を配る必要がある。漢文ではよく用いられる対句的表現への習熟が必要。また、問2で問われた「百姓」のような名詞や、四字熟語・故事成語の知識も必要。過去5年間で漢詩が4回出題されていることを考えると、漢詩への習熟は欠かせない。なお、今後は日本漢文の出題も予想される。可能な限り、広範囲な分野の漢文に触れておく必要がある。

英語(リーディング)

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

①出題傾向

概ね大きな形式に変化はなかった。ただし、細かく見ると、第2問A,Bでは本文の内容と一致しないものを選ぶ問題が出題された。第3問Aではブログに対するコメントとして最適なものを選ぶ問題が出されていたが、本文の内容と一致しないものを除外していけば正解に辿り着けるだろう。第3問Bでは例年通り出来事を順序通り並べ替える問題が出題されたが、今年は「本文の内容に基づいた学生のコメントを並び変える」問題にマイナーチェンジされている。第4問は第5問のようなメモを埋める形式となり、本文中のどの箇所に解答の根拠を探すべきか分かりやすかっただろう。第5問は昨年に引き続き物語形式となっていたが、分量が多く、また「◆◆◆◆◆」を挟んで物語の場面が変化するので、時系列を追うのに苦労した受験生もいただろう。第6問は昨年に比べ選択肢の分量が少なかった。以上のように多少の変化はあったものの、必要な情報を素早く探させたり、複数の情報を比較させたりといった出題方針には特に変化がなかったと言えるだろう。

②問題量

大問6題の構成に変化はない。マーク数は昨年同様49であった。問題本文の語数は昨年よりもおよそ400語増加している。引き続き80分という時間に対しての分量が非常に多いため、素早い情報処理と速読スキルが求められている。

③難易度

第1問~第3問は標準的な難易度。第4問はメモが用意されているので、解答の根拠となる箇所は見つけやすかったであろう。第5問は使われている語彙は平易なものの、場面の変化が多く、時系列を追うのがやや難しかっただろう。一方で、第6問はABともに選択肢の分量が昨年よりも少なく、特に昨年度の第6問Bと比べるとかなり解きやすかったはずである。全体としてはほぼ昨年と同程度の難易度だった。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

①緩急のバランス

受験生にとって共通テスト英語の最大の課題は「時間が足りない」ことでしょう。今回も例外ではなく、1つ1つのセンテンスを日本語に直しながら読解していく方法では時間内に解ききることができない設計になっています。「速読」箇所と「精読」箇所の読み分けをすることで読解に緩急をつけて結果的に短時間で答えが出せることが重要です。

②必要な情報を素早く検索するスキル

そのために必要なスキルの1つはスキャニングスキルです。ほとんどの設問には、解答の根拠となるヒントが盛り込まれ、それらを本文から検索する能力が問われています。問のリード文やメモの空欄前後から検索対象となるキーワードを自分自身で設定し、それを本文から探す。そうすることで求められていない部分は速読し、根拠箇所は精読するという強弱をつけることができます。

③要旨を理解するスキル

今回の第6問Aでは、段落ごとの要旨を問う問題が出題されていました。日頃から段落ごとのテーマを意識しながら文章を読んでいるかが問われています。今回のように直接問われなくても、段落全体や本文全体のテーマを捉えて読まなければ、共通テストは戦えないでしょう。段落ごとに何を言おうとしているのかという要旨を頭の中で理解しながら読むスキルが求められています。

④解き方

factとopinionの識別方法、言い換えの判別、時系列の把握など、頻出の形式に対する解法を身につけておくことが大切です。設問からキーワードを見つけ、本文に探すという基本的なアプローチを早い段階で身につけましょう。また、本文に書かれてある内容から推論する力も求められます。

上記4点を養成することが高得点への近道となるでしょう。

英語(リスニング)

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)
  • 配点・大問数・設問数・マーク数ともに昨年度と同じ。
  • 読み上げ総語数は1,500語程度で、昨年度とほぼ同じ。また、設問・選択肢の総語数も昨年度とほぼ同じ。
  • 音声の読み上げ回数も、2回読み(第1問・第2問)と1回読み(第3問・第4問・第5問・第6問)の混在は昨年度と同じ。
  • イギリス英語やネイティブではない話者などの多様な話者による英語音声が、昨年度に引き続き出題された。
  • 日常的な対話から大学の講義、4人のアイデアや意見交換など、昨年度同様さまざまなジャンルから出題された。
◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス
◆今回のテストで求められた力
  • 音声の聞き取り力やほかの表現への言い換え力、さらには図表やワークシートなどの読み取り力や聞き取った情報を合わせて判断する能力が問われた。
◆来年度受験生へのアドバイス
  • 継続して「英語耳」を鍛えることが、リスニング力の向上につながるため、習慣的に英語を聞く必要がある。また、英語の語順に慣れるように、英文を繰り返し声に出して読むことを勧める。さらに、練習ではすべてを聞き取ろうとするのではなく、聞き 取るポイントを絞って聞くこと。

物理基礎

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

大問数は昨年同様3題構成だった。マーク数は16から17と増加した。

第1問は小問集合で,力学分野が1題,熱力学分野が1題,電気分野が2題で,波動分野は出題されなかった。

第2問は実験問題で,浮力の測定だった。グラフから測定値を読み取って力の関係式を立てる問いや,グラフから物体の形状を考えさせる思考力を問う問題だった。

第3問は音速の測定で,波についての基本を問う問題だった。昨年は出題がなかった数値をすべて答えさせる形式の問題が出題された。

全体を通して,昨年より数値を用いた計算問題が増加し,解答時間が足りない受験生がいたかもしれない。 難易度はやや難化したと思われる。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

数値を用いた計算問題が増加し,共通テストらしい実験・考察問題や,物理の本質を問う問題が出題された。

教科書中心の学習をして,過去問で演習をしていた受験生は高得点が取れただろう。 共通テストの対策としては,先に述べたように教科書中心の学習をして,過去問で演習をしていくのが効果的だろう。教科書の探究活動については,ノートなどにまとめておくとよい。

化学基礎

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)
  • 出題傾向は昨年度と変わっていない。難易度も平年並みだろう。
  • 第1問は基礎学力の確認問題,第2問は思考力が要求される問題であった。
  • 大問数は昨年度と同じで,それぞれに対する配点も同じである。
  • 第1問は小問の数が問9から問10に増え,マーク数も1つ増えたが,問10の計算問題以外は難しくないので影響は少ないだろう。第2問は小問の数が問5から問3に減少し,マーク数も1つ減少したが,計算結果の数値を直接マークする問題は出題されなかった。
◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス
  • 第1問は,問3の三態変化が難しかったかもしれない。問5のケイ素と二酸化炭素の結晶の問題は日頃から教科書の隅々まで読んでいないと対応できないだろう。問8の②の選択肢は,中和反応のことを正しく理解していないと失点しただろう。第1問の中では問10が最も難しい。ここで時間を費やした受験生も多いでないのだろうか。
  • 第2問は宇宙ステーションの空気制御システムに関する問題で,サバティエ反応は初耳の受験生がほとんどだろう。ただし,それぞれの小問は落ち着いてよく読めば対応できたと思う。問2のbが難しく,時間を要したかもしれない。他に難しかったのは問3のbくらいだろう。
  • 第1問は基礎学力の確認,第2問は思考力を問う傾向であり,この出題傾向は来年度も予想される。基礎学力は知識問題と計算問題である。知識問題は教科書の隅々まで読んで抜かりないように対策しておくこと。酸化と還元,電池と電気分解,中和に関する正誤問題や計算問題も出題されるので対策しておこう。第2問は実験に関する問題やグラフに関する問題を数多く解いておくことが思考力向上の鍵となる。

生物基礎

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

 大問3題で構成され,「生物の特徴」,「ヒトの体内環境の維持」,「生物の多様性と生態系」のテーマからそれぞれ大問1題分が出題される形式などに大きな変化はありませんでした。問題量や,それぞれの大問でグラフや図の読み取りを要求する問題が出題された点も例年通りと言えるでしょう。この形式は今後も続くと考えられます。

 難易度については,全体的に標準的な内容でした。簡単に正誤判断できる選択肢も多いですが,リード文のヒントを読み飛ばすと判断できない選択肢や,やや細かな知識を問う選択肢も散見されました。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

 生物に関わる基礎的な知識も重要ですが,リード文から情報を汲み取る力,知識をベースにして図で与えられた情報をうまく活用する力が要求されます。高得点を目指すのであれば,一問一答形式のような単純なアウトプットだけではなく,過去問や同じ傾向の問題演習を通じて,応用力・実践力を鍛えていく必要があるでしょう。

また,第3問では,外来生物が出題されました。ニュースなどでよく耳にすることがあると思いますが,生物基礎で学ぶ内容は,科学リテラシーとして期待されるものでもあります。身近なところにある生物学の基礎的な内容を知っておいて欲しい,というメッセージとも言えるでしょう。

地学基礎

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)
<構成>

大問数:4題構成(昨年と同じ) 全体のマーク数:15(昨年と同じ)

<問題形式>

4択問題:14(昨年と同じ) 6択問題:1(昨年と同じ)

<特徴>

昨年と比べて,第2問の大気と海洋の分野が1題増加し,第3問の宇宙分野が1題減少した。 図表を用いた問題が昨年より減少し,複数の語句に対する空所を埋める問題が増加した。全体的に誤りの選択肢が分かりやすいため,解きやすかっただろう。計算問題は2題で,どちらも題意が読み取れれば解けただろう。第2問では天気図の時系列を読み取る問題が出題されたが,日頃から天気予報などでもみられるため,イメージがしやすい内容だった。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

実験や観察からさまざまな地学現象を考察させる問題が多く出題されている。また,与えられた資料を正しく読み取り,考察する力が必要になる。このような問題に対応するためには,ただ現象の名称や知識を覚えるのではなく,「なぜそれが起こるのか」「原因やメカニズムは何なのか」などを正しく理解しておく必要がある。 これからの学習については,まずは教科書を中心にさまざまな地学現象の背景について理解していこう。緊急地震速報や台風など,身近な内容も多くみられるため,関心をもって取り組んでほしい。教科書を理解した後は,共通テストの過去問や模擬試験を使って「自分の弱点はどこなのか」を把握し,問題を解いた後も「どうしてこの答えが正解なのか」を教科書などを用いて確認していこう。

数学Ⅰ

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

第1問
[1] 無理数√13の小数部分を小数第2位まで求める問題である。誘導文章の指示通りに計算を進めていけばよいが,不等式を満たす整数部分が重要となる。難易度は標準である。
[2] 4つの集合の和集合,共通部分,包含関係を調べる問題である。後半は命題の必要条件・十分条件を判断して答える。
難易度は標準である。

第2問
[1] 外接円の半径に関する問題である。最後は命題の条件が問われているが,融合問題は以前の共通テストにも出題されている。難易度はやや平易である。
[2] 三角比の表を利用する問題は昨年と同様である。電柱の影を平面にモデル化した図があり,この図を利用して三角比から式を立てることになる。難易度はやや難である。

第3問
[1] コンピュータソフトのグラフを読み取る問題である。操作を文章から理解して,変数を変えてグラフの概形を調べる。
すべてのマークを解答群から選んで答える形式である。難易度はやや平易である。
[2] 動点を結ぶ三角形の面積を2次関数で求め,その最小値を求める。関数が2つあるため場合分けを要する。
(4)はやや難である。

第4問
前半はヒストグラムから箱ひげ図を読み取るよく出題される問題である。最頻値の出題は新傾向であった。また,データの数値が小さいほどタイムがよくなることに注意したい。後半は散布図の読み取りを含め,相関係数が問われた。
難易度は標準である。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

各分野から幅広く出題されている。文章の読解力と計算量は例年と同様であるが,会話文は減っている。各問題で後半は難しくなっており,ときには前の問いの結果を利用することも多い。教科書の基本から応用まで分野別に計画を立てて学習することが望ましい。また,過去問や共通テスト対策用の問題集を数多くこなして共通テスト独特の出題傾向に慣れてから本番に臨んでもらいたい。

数学ⅠA

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

第1問
[1] 実数(無理数)を整数部分と小数部分に分けて小数第2位まで計算する問題である。誘導があるのでその指示のとおり計算を進めていけばよく,難易度も標準である。
[2] 三角比の計算である。電柱の影が題材であるが,処理する図形は平面図形となるので考え易い。昨年と同様,三角比の表を一部利用する計算があった。難易度は易しめである。

第2問
[1] 原点と座標軸を動く2つの動点を結ぶ三角形の面積の最小値を求める問題である。問題量は少ないが,計算量があり,とくに(4)はやや難しい。昨年本試は式が与えられていたが,今年は式の作成に時間を要した。全体的にやや難しい。
[2] 昨年と同様の出題傾向である。ヒストグラムや箱ひげ図,散布図の読み取りが主であり,計算量は少ない。また,ベストタイムが最小値であるからデータの値が小さいほどタイムが速いので戸惑う受験生も多いであろう。

第3問
昨年は確率の問題が出題されなかったが,今年は条件付き確率を除いて出題された。文章量が多く,状況を理解するまでに時間がかかる。とくに(3)は誘導があるものの場合分け1つに思考を要する。難易度はやや難しい。

第4問
n進法の問題である。共通テスト本試験で初めて出題された。計算量は少ないが,(3)では剰余の問題もあり,n進法としては新傾向の出題である。難易度は標準である。 第5問:与えられた星型の図形と円との関係を示す問題である。前半はメネラウスの定理から比を求め,後半は方べきの定理を利用して円の内部,周上,外部の点を判断する新傾向の問題である。難易度はやや難である。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

全体的に会話部分の内容は大幅に減ったものの,条件を記述する文章の読解力が必要であった。また,計算量は例年並みである。 教科書の基本用語や公式から式を作り,計算に利用できるかが重要である。後半には難しい問題が並んでいるが,前の問題を利用する誘導問題の演習により,問題の意図を掴む訓練を積み重ねることが大切である。

数学Ⅱ

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

 昨年度とは異なり、三角関数が大問で出題され、式と証明が第1問の小問として出題された。

 全体として、問題量・計算量は全体を通してそこまで多くないが、式と証明や、微分法・積分法ではやや抽象的な内容を問われており、受験生は難しく感じたかもしれない。誘導が丁寧であったため、誘導に従って解ければ易しい問題と思われる。

 全体の難易度としては、やや難か昨年並み。前半(第1問・第2問)に多くの時間を費やしてしまうと点数は伸びないが、そうでなければ大きな落ち込みはないだろう。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

「ただ問題を解く」という力では太刀打ちできない問題である。

  • 問題を解くための数学的原理を理解する力
  • 具体から一般化する力
  • 一般化されたものから具体化する力

を要求する出題が多くみられた。  数学を勉強する際、問題を解くための数学的原理を理解し、それを運用する練習をしてほしい。一人で解答を読んで理解する訓練や、共通テストのみの受験生であっても、自分で論述する訓練を積んでおかなければ、初見の数学的な文章を素早く読み解くことができない。答えを出すことばかりに固執した学習ではなく、記述式問題にしっかりと対応できる数学力を身につけるように心がけよう。

数学ⅡB

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

 今年は三角関数の出題がなく、式と証明からの出題であった。また、第2問は令和4年度の問題と同様、面積を積分で表現する問題が出題された。対称性を利用し、2つの面積の関係を考察する問題。抽象的な内容で、受験生は苦戦したかと思われる。第4問は漸化式に関する出題であったが、漸化式をもとに数列の性質を考察する問題で、目新しい問題である。第5問は空間ベクトルからの出題で、問題量は少なかった。

 全体の難易度としては、やや難か昨年並み。前半(第1問・第2問)が少し難しめであったが、後半は比較的解きやすかっただろう。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

 「ただ問題を解く」という力では太刀打ちできない問題である。

  • 問題を解くための数学的原理を理解する力
  • 抽象的な内容を理解し、処理する力
  • 未知の問題に対して試行錯誤する力

を要求する出題が多くみられた。

 数学を勉強する際、問題を解くための数学的原理を理解しそれを運用する練習をしてほしい。また、一見解き方が分からない問題でもすぐに答えをみず、試行錯誤するよう心掛けてほしい。

 本年度は、選択問題(第3問・第4問・第5問)では、問題自体の難易度が低かったので、第1問から順番に解くのではなく、解きやすい問題から解いていく習慣を身につけるのも大切である。

 大学入学共通テストの出題傾向が安定してきたのではないだろうか。来年度以降の受験生は、過去問をしっかりと解き、問題の解き方を身につけるだけでなく、初めて読む数学的な文章を他人の手助けなしで読めるようになる訓練をしっかりと積もう。

物理

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

大問数は昨年同様4題構成だった。マーク数は昨年の26から22と減少した。

第1問の小問集合は,さまざまな分野からの出題で前年と変わっていないが,原子物理の核反応と半減期が小問で出題された。

第2問はペットボトルロケットの運動に関して,仕事とエネルギーの関係を聞く問いや,運動量保存則,力積と運動量に関しての標準的な内容を問うものだった。

第3問は弦の固有振動の問題で,公式を覚えて理解している受験生であれば,容易だったと思われる。

第4問は電界と電位に関する基本的な内容だった。

全体を通して,見た目は難しそうであるが,法則や公式を正しく理解していれば解ける内容だっただろう。 難易度は昨年並みと思われる。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

昨年と比べ,探究活動の実験問題が減少して,センター試験のときに出題されていたような問題のように感じられた。複雑な計算はなく,法則や公式の導出をきちんと学習し,過去問で対策していた受験生は高得点が望めたのではないだろうか。 今後の対策としては,教科書中心の学習をして,公式をただ単にあてはめる勉強ではなく,公式の成り立ちを理解する勉強をしてほしい。教科書の探究活動については、自分でノートにまとめておくと効果的だろう。

化学

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)
  • 大問数は昨年度と同じ。
  • マーク数は35から31に減少したが,計算結果の数値を直接マークする形式が出題されなかった影響だろう。
  • 難易度はやや難化した。
◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス
  • 第1問の問2は計算を真正面から取り組まずに概算できたかどうかで差が付く。問3はコロイド粒子がろ紙を通過してしまうことを知っているかどいうかがポイントなる。問4aは頻出問題であるがbは初見かもしれない。それでも落ち着いて処理すれば対応できただろう。cは難しいかもしれない。
  • 第2問は問3が難しい。酸化剤の式と還元剤の式が与えられていないので,電子の物質量を自分で考えられるかがポイントである。また,計算は概算できたかどうかで差が付く。問4aは④と⑤のグラフで迷っただろう。bは演習量が多い受験生は難なく答えたと思う。
  • 第3問の問3は知識が物を言う。問4が難しい。思考力が要求された。
  • 第4問は問4の医薬品が難しいかもしれない。図に圧倒されるかもしれないが落ち着いて処理すれば対応できたと思う。
  • 第5問は難しい。特に問3が極めて難しい。かなりの思考力が要求される。
  • 来年度も差が付くとすれば思考力が要求される第5問だろう。教科書の範囲を履修し終えたら,色々な大学の問題を数多く解いて経験値を上げておく必要があるだろう。そして1~4問は教科書の内容の確認レベルなので基礎基本を押さえておけば失点を防げる。知識と思考力のバランスが大事である。

生物

■設問ごとの特徴

■講評

◇全体的な特徴(出題傾向・問題量・難易度など)

 大問6題で構成され,大きな変化はありません。生物の全範囲から網羅的な出題になっています。

 近年,難化が著しかった共通テスト生物ですが,今年は標準~やや平易な内容になりました。各大問のリード文の文量や横断的なテーマも盛り過ぎることなく,大問ごとに簡潔にまとまっています。考察を重視する姿勢は変わっていませんが,知識を駆使しして解答できる問題が多くなっていることから,これまでの共通テストの問題と比較しても,受験生にとってはかなり取り組みやすいものになったのではないかと思います。

 各大問内でテーマが切り替わることもなく,選択肢の1つ1つも1つの根拠で正誤判断できる構成のものが多くなっていました。知識と考察の問題がバランスよく出題された,受験生の学力が反映されやすい適切な難度の問題あると言えます。

◇今回のテストで求められた力、来年度受験生へのアドバイス

 リード文が短くなりましたが,その分そのなかに情報が濃縮されています。どの大問にも図や表が付されていることから,多角的な情報から状況を読み取る力が要求されているといえるでしょう。また,全体として易化した分,取りこぼしなく全問にしっかりと解答する必要があります。1つの問題に固執せず,全体を俯瞰しながら解答する力も求められます。

 今回は,考察重視型→バランス型へと推移するとともに,大きく易化しました。この易化傾向が次年度以降も続く確証はありません。バランス型のまま難度が上がることは十分に想定されます。知識を詰め込むだけでも不十分ですし,知識を身に付けないまま考察問題を繰り返しても効果的な学習にはなりません。しっかりと知識の下地を身に付け,それを的確に運用して解答できる良問に取り組むことで総合的な力を育てていく必要があります。

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