英語
講評
設問ごとの特徴
全体的な特徴
問題形式について
英文読解の方は大きな変化はないが、 第 5 問の形式がかなり変わった(下記参照)。
問題量について
昨年度と比べて大きな変化はない。
出題内容について
〔1〕は生物を履修した受験生にとってはやや有利な内容であ るが、十分な説明があるので、そうでない受験生でも不利ではない。
〔2〕は職場での忙しさの是非を問う話題であるが、比較的 読みやすい。
〔3〕は宇宙と環境が複合したテーマであり、 地学履修者にはやや有利な英文であるが、それでも昨年の 洪水 のテーマよりは 読みやすい。ただ、記述量が多いため時間がかかる。
〔4〕は自由英作文で頻出とは言えないテーマなので、 解答に苦労した受験生が多かっただろう 。
〔5〕は 昨年度までの グラフの読み取りから 80 語程度の自由英作文へと変化したが、考慮すべきポイントが設問に明示されているため〔4〕より遙かに取り組みやすい。
難易度について
昨年と比べて、〔 1 〕~〔 3 〕は昨年度並みであるが、 〔 4 〕はやや難化、 〔 5 〕は易化した 。
合否のポイント、差のつく設問について
①前半の読解問題でいかに要領よく解答をまとめるか 、 ②後半の英作文でいかに高得点を取るか。 この 2 点の対応能力の差が分かれ目になりそうである。
次年度受験生への対策コメントなど
昨年度と同様に 、英文のテーマ は比較的平易であるが、その分 自分の頭で考え解答を練り上げるのに時間を要するようになった。英作文もただ授業を聞いておけば解答できるようになるというレベルではない。今年度は出題されなかったとは言え、 昨年度まで出題されていたグラフ説明問題が復活する可能性もある。どちらにせよ、大量に英文を読み、大量に日本語を書き、大量に英文を書く能力が要求される ことに変わりはなく 、 特に 2 学期には九州大学の過去問だけにとらわれず、少し難しめの英文・ 自由英作文を学習しておいた方が良い。 読解問題については、 引き続き、 評論・エッセイだけでなく、小説も想定しておいた方がよい。 また、自由英作文は相当の練習量が必要になるだろう。英作文の実力をつけるには時間がかかるため、 共通テスト対策に力を入れすぎて、共通テストが終わってからようやく英作文の演習に手を付けるようでは合格は難しいだろう。
理系数学
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講評
設問ごとの特徴
全体的な特徴
問題形式・問題量・出題内容・新傾向の内容
各問題とも2~3の設問からなっている。
問題量は昨年と比べると減少しているが,計算の工夫を必要とする問題である。
新傾向の問題は出題されなかった。
難易度
標準的な問題であるが,計算が難しく点差のつく問題であった。
今年度受験生へのコメント(合否のポイント、 差のつく設問など)
標準的な問題なので計算ミス等で点差がつきやすい問題である。
日頃から丁寧な計算,論理的な答案作成に心掛けるとよい。
文系数学
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[3]
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国語(教育・法・経済)
現代文
古文
漢文
講評(現代文)
設問ごとの特徴
全体的な特徴
問題形式について
問2の空欄補充問題を除いて、すべて本格的な論述問題が出題されている。設問のパターンは、内容説明問題と理由説明問題という標準的なものである。
問題量について
昨年と比べて、問題文の量は増えたが、論述問題の設問数は1問減り、それに伴って論述量も減少した。
出題内容について
佐藤仁『争わない社会「開かれた依存関係」をつくる』より出題。
「依存」をテーマとした評論である。現代社会では「依存」はネガティブにとらえられがちだが、「依存のネットワーク」を張り巡らすことによって争いを拡大しない社会を構築すべきだという主張が述べられている。
難易度について
昨年と比べて、論述量が減り、時間的に楽になったため、難易度はやや下がった。
合否のポイント、差のつく設問について
後半の難易度の高い設問(問4、問6)にどのぐらい対応できるか、具体的に言うと、的外れな解答ではなく、部分点がもらえるような解答が書けるかというところが重要だろう。また、そのためには、後半の設問に時間が残せるような論述のスピードも要求される。
次年度受験生への対策コメントなど
膨大な論述量に対応できるかが合否のポイント。
そのためには、日頃から論述や要約の練習を積み重ねて、スピーディーに内容をまとめられるようになることが必要とされる。そして、最終的に時間配分を意識しながら、過去問演習に取り組めば、良い仕上げになると考えられる。
講評(古文)
設問ごとの特徴
全体的な特徴
問題形式について
平安時代後期の歌学書『俊頼髄脳』からの出題。本文の分量は昨年の『 狭衣物語 』 と比べると減少した。設問は 口語訳と内容説明とを中心とした出題であった。問3・問4は設問が何を要求しているのかを把握するのにやや苦労したと思われる。 語彙力・文法事項の習得に加えて、本文の内容を把握しながら読み進め、その内容を要約するなど古文の広範な学力が求められている点は近年の九大の出題形式と同じであった。
問題量について
本文の分量は減少した。大問の数は昨年と同じであり、記述量も昨年と同程度であった。
出題内容について
問1は「文脈に即して」という条件が付いた口語訳の問題。「つれづれなり」「かづく」など基本的な語彙力が問われている。
問2は「らむ」の違いについて説明する文法問題。識別に関する習熟が求められている。
問3は和歌修辞・和歌解釈の問題。 設問の「冒頭の歌」が何を指すのか、はっきりとせず迷った受験生も多かったと思われる。「駒」「葦毛」 の知識が求められる。
問4は指示内容の問題だが、設問の「内容を具体的に」への対処に苦慮したと思われる。
問5は内容説明の問題。登場人物の行動を簡潔に要約する必要がある。
問6は内容説明の問題。登場人物の行動を要約する必要がある。わかりやすい答案としてまとめるには十分な記述力が必要な問題であった。
問7は文学史の問題。勅撰和歌集の成立時期を問われた。
難易度について
本文の内容は標準的な難度の問題であるが、 設問に対する答え方に迷う箇所がある(問3・問4)。また、問6も制限時間内で的確にまとめるのは容易ではなかったと思われる。問1の口語訳の問題や問2の文法問題 、問7の文学史など、基本的な設問での失点を防ぎたい問題であった。 全体としては「やや難」というレベルの出題と言えよう。
合否のポイント、差のつく設問について
問1・問2・問7では確実に得点したい。問5・問6でどのくらい内容を的確に把握し、時間内に答案にまとめられたかによって差がついたと思われる。
次年度受験生への対策コメントなど
全ての問いにおいて、正確な訳出と文法の知識や語彙力が必要となる。また、本文中の登場人物の関係を把握するよう努めながら本文を読解しなくてはならない。問5・問6のような本文を要約するタイプの問題にも習熟しておきたい。近年の要約問題はなかなか手強いので、九大志望者は過去の問題を演習するときには、制限時間を意識した演習が有効である。また、和歌に触れる機会を増やし、修辞や解釈に習熟する必要がある。
講評(漢文)
設問ごとの特徴
全体的な特徴
問題形式について
複数の文章からの出題であった。【文章Ⅰ】の『後漢書』は歴史書。南朝宋の范嘩の撰。【文章Ⅱ】の『五雑俎』は随筆。明代の謝肇淛著。どちらも 後漢の人物である辺韶に関する逸話。口語訳の問題が今年は出題されなかった。また、昨年に引き続き内容説明の問題も出題されなかった。重要語の読み・書き下し文・返り点を施す出題に加えて、漢詩と漢文との対応を問う問題が出題された。九大での漢詩を含んだ文章の出題は2000年(文学部問題)以来の出題であった。なお【文章Ⅰ】『後漢書』の同一箇所が1986年に東大(文系)で出題されている。
問題量について
複数の文章による出題であるが、問題文の総量は昨年とほぼ同じであった。漢詩が含まれており、読解に要する時間は昨年よりも増したと思われる。
出題内容について
問1は読みの問題。いずれも国公立二次試験では頻出の語である。
問2は内容説明の問題。「五経筺」を説明する。
問3は書き下し文の問題。「夢」字の送り仮名を「に」と送ること、「同」字を「同じくす」と読めるかがポイント。
問4は返り点を施す問題。過去の九大の同様の問題と比べるとやや平易な出題。
問5は箇所指摘の問題。傍線部⑤「一半西窓無夕陽」と対応する箇所を探すのはなかなか難しかったと思われる。
難易度について
文章の分量は国公立大学の二次試験としては長文ではなく、全体の難度としては標準的な出題 。ただし 、やや手強い問題が 含まれる 。
問 1・問2・問4は確実に得点したい。問5は漢詩の解釈も対応している箇所を探すのもなかなか難しい。
合否のポイント、差のつく設問について
問1・問2・問4などの基本的な設問で失点しないことが大切。問3の書き下し文の送り仮名や品詞の判断で差がついたと思われる。
また、問5では漢詩の解釈を正確にしたうえで対応する箇所を探せたか否かで差がついたと思われる。
次年度受験生への対策コメントなど
九大漢文では基本的な重要語の読みと意味との習得が求められる。また、句形の知識とともに、文語文法への習熟が、正確な書き下し文につながる。 今年度は漢詩が 含まれる文章が 出題された。 共通テストのみならず、二次試験でも漢詩の出題に備えなくてはならない。 なお、今年は出題されなかったが、 口語訳や内容説明の問題 、漢文学史への対策も怠らないようにする必要がある。
物理
化学
講評
設問ごとの特徴
全体的な特徴
問題形式・問題量・出題内容・新傾向の内容
- 問題形式,問題量,出題内容は例年と同様。
- 新傾向といえるかわからないが,第4問の問4の正誤問題で,ザイツェフの法則,シグマ結合,炭素陽イオン,NMRなど教科書を隅々まで探せば記載があるが,普段は耳慣れない用語があった。
難易度
- 第2問が特に難しい。
- 第3問と第4問はやや難しい。詳しくは下記参照。
合否のポイント、差のつく設問など
- 第2問が特に難しいので,手を付けずに第2問以降を解いた方が得点率は上がっただろう。第2問は問3が難しい。これをクリアできれば問4も得点できるだろう。
- 第4問は問4の正誤問題が難しい。問5は鏡像異性体になる構造式が書けるかどうか,問6はメソ体を知っているかどうかがポイントとなる。
- 第5問の問1はポリスチレンに不斉炭素原子が存在することが判断できたかどうかがポイントとなる。問2は日頃の演習量が物を言うだろう。問4の等電点を求める問題が難しい。
生物
講評
設問ごとの特徴
全体的な特徴
傾向 ・ 特徴 ・ 問題形式
大問5題で,幅広い分野から出題されている。全体として,空欄補充や論述問題が中心であり,一部選択問題が出題された。
実験考察やデータを読む必要がある問題は少なく,取り組みやすい内容であったと思われる。
問題量 ・ 出題内容 ・ 難易度
どの大問もリード文が適量であり,初見となる図やグラフの解釈を要求する問題もなかったため,試験時間に対する問題量は適切なものであった。
どの大問でも論述問題が出題されたため,自分の考えを文章化するトレーニングが不足している受験生にとっては難しく映った可能性はあるが,内容はどれも標準~平易である。
今年度受験生へのコメント(合否のポイント 、 差のつく設問など)
どの大問も,空欄補充の知識問題,論述問題が中心となっている。知識問題は,やや細かな内容まで出題される。教科書のコラム欄などにも目を通すようにしておこう。
論述問題は量が多いものの,典型的な内容のものが多く書きやすい印象であった。推敲を重ねすぎて時間不足にならないよう,普段からの論述対策が重要となる。
大問4がやや考察問題が多く出題されたが,九州大受験者であれば,しっかりと対応できて欲しい難度であった。普段の演習でも,やみくもに難度を上げず,標準的な問題に確実に対応できる力を伸ばしていく必要がある。